よく経済ニュースで「上場」とか「非上場」とか言ってますよね。たまに株価が上場来高値を付けました!とか、景気の良さそうな言葉も聞いたりしますが、これは何でしょうか。そんな株式用語「上場」について解説します。
目次
「上場」の意味
株式の上場は、ある会社の株が市場に公開され、証券取引所などの市場で、株を一般の投資家が売買や保有をすることができることを言います。また、この状態になることを「上場する」といいます。逆に株式が公開されていない会社は「非上場会社」とか「非上場企業」と言われます。
現在、日本で上場している企業は約3800社ほどあり、4つある証券取引所(東京、福岡、名古屋、札幌)で上場企業の株式が日々取引されています。
上場の目的
会社が上場することは必ずしも行うことではなく、有名であっても上場していない会社はたくさんありますが、会社を上場させることは経営者にとって一つの節目だったり、目標だったりすることが多いです。では、なぜ会社は上場するのでしょうか?
その目的は主に2点で、①一般投資家への知名度を拡大させること、②株式を市場で発行し資金調達すること、です。
①については、説明入りませんね。株式が公開されている会社のほうが、当然投資家の認知度が高くなりますし、かつ、上場企業は一定の上場審査基準が設けられているため、情報の開示義務等も課されることから、知名度が上がります。株主だけではなく、投資判断を行う材料のため自社と関係な人に対してもディスクロージャー義務があるため、自然と知名度が上がります。知名度が上がると会社の取引先開拓が有利になる他、従業員もそれなりの信頼を得やすく、例えば、銀行の住宅ローン審査などで、上場企業の職員であるほうが圧倒的に審査通過に有利だったりします。
目的の②資金調達も非常に重要です。株式発行による資金調達は、「エクイティ・ファイナンス」とも呼ばれ、銀行からの融資等の「デッド・ファイナンス」と比べ、返済義務や金利支払いの義務のない形で行われます(その代わり、投資家は会社の成長を見込んで株式を保有するので、配当や自己株買い等を通じた株主還元を行うことが期待されます)。会社経営の過程で新規事業参入や拡大などを行う際の資金調達として上場するケースが多いです。
上場の審査
では、どんな会社でも上場ができるのか、というと勿論そんなことはありません。上場にあたっては不特定多数の投資家から資金を調達することになりますから、株式を発行する(=上場する)会社には、健全性・公平性・取引安定性を担保できる会社としての資質を有していることが求められます。この資質を判断するのが「上場基準」になります。
日本取引所グループ(JPX)では現在、以下のとおり上場基準を設けています(※ただし来年から市場の構成変更が行われるため、その点は今後解説予定です)。
東証第一部 | 東証第二部 | マザーズ | |
株主数 | 800人↑ | 400人↑ | 150人↑ |
流通株式 | 2万単位↑ | 2000単位↑ | 1000単位↑ |
流通株式時価総額 | 100億円↑ | 10億円↑ | 5億円↑ |
流通量 | 流通株式の35%↑ | 流通株式の25%↑ | 流通株式の25%↑ |
純資産額 | 連結で50億円↑ かつ単体で負でない | 連結純資産が+ | 連結純資産が+ |
利益 | 直近2年で25億円 or 直近1年売上高100億円↑で 時価総額1000億円↑ | 最近1年で1億円↑ | ー |
マザーズ市場は新興企業を対象にしていますから、若干基準が緩く、マザーズ<東証第二部<東証第一部の順に基準が厳しくなっています。
なお、現在の市場はおおざっぱに分けると、東証第一部、東証第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)がありますが、2022年4月4日からは、日本取引所グループの東京証券取引所が運営する株式市場はプライム市場・スタンダード市場・グロース市場の新しい3つの市場区分に変更されます。海外投資家にはよりわかりやすくなって、良いかもしれません。そのうち細かく解説予定です。
それでは!
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