皆さん、DeNAという会社の名前を聞いてまず何を思い浮かべますか?
DeNAは色々な活動を行っていますが、就活生でも志望者でもない限りパッと活動が思いつかないのではないでしょうか。さて、同社のメインはゲーム事業になります。それ以外で強いのはスポーツ事業で、DeNAベイスターズを運営する他、Bリーグの川崎ブレイブサンダースの親会社でもあります。
実はこのDeNA、日経平均構成銘柄なのですが個別の投資対象としてはあまり注目を浴びておらず、ここ数年は株価成長曲線が微妙な状態な状態でした。今回は、買い推奨というわけではないのですが、私自身が長年応援している企業ということで取り上げました。それでは、詳しく見ていきましょう。
目次
概要・沿革
DeNAの設立は1999年と比較的新しく、マッキンゼーを退社した南場智子氏(現会長)が設立したのが始まりです。当初はインターネットサービス事業を展開しており、オークションサイトのビッダーズや、「おいくら」(リサイクル情報サイト)を提供。2005年にマザーズに上場し、06年には携帯電話専用ゲームサイト「モバゲータウン」(現在のモバゲー)を開始。2007年に東証第一部に指定。2011年にはTBSから横浜ベイスターズを買収し、横浜 DeNAベイスターズへ名称を変更(当時は、まさかプロ野球のオーナー会議の重鎮たちが英文字を球団名として認めるとは思いもよりませんでした)。2012年から、現在本社が置かれている渋谷のヒカリエに移転しています。
2015年は任天堂と業務提携し、株式の持ち合いを行っている他、同年10月には日経平均株価の構成銘柄にも指定され、今やIT分野で日本を代表する企業の一つです。ちなみに南場会長は2021年2月に、女性で初となる経団連副会長に就任しました。
事業内容
DeNAってネットゲームとかIT分野(+最近はスポーツも)で活躍しているイメージはありますが,実際に何をやってるか,パッと分かる人はなかなかいませんよね。まずはDeNAの売上の内訳を見ていきましょうか。今期の決算発表は明日(5月7日)ですが、とりあえず前期となる20年3月期の会社発表資料で見ると以下のとおりです。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 通期 | 構成比 | ||
売上収益 | 314 | 339 | 259 | 302 | 1,214 | ||
ゲーム | 197 | 215 | 190 | 237 | 838 | 69.0% | |
スポーツ | 80 | 85 | 24 | 13 | 202 | 16.7% | |
オートモーティブ | 3 | 3 | 3 | 6 | 15 | 1.2% | |
ヘルスケア | 4 | 4 | 4 | 6 | 18 | 1.4% | |
新規事業他 | 31 | 33 | 39 | 40 | 143 | 11.8% |
ゲーム事業
見ればわかるとおりですが、ゲーム事業が売上収益の7割を占めています。大きなコンテンツとしてファイナルファンタジー、スラムダンク、ポケモンマスターズ等のタイトルがあります。特にスラムダンクは2019年12月に中国でスマホアプリを配信しており、新型コロナでの巣ごもりの影響もあってか、恐らくですが21年3月期も好調と思われます。中国人はバスケット好きですしね。あと有名どころでは、CMでもよくやっていましたが逆転オセロニアも有名ですね。他方、個人的な印象ですが、昔と違ってゲームアプリの開発はコスト&時間がかかる割に,収益化に失敗するリスクも多々あり、なかなか苦戦しており、(DeNAに限りませんが)既存IPに頼った展開になる傾向を感じています。そんな中、期待値が高かったポケモンマスターズは思ったより伸びていません。
さて、2021年配信予定のゲームで期待するのはスクエニとの共同で行う「ドラゴンクエスト ダイの大冒険-魂の絆-」でしょうか。あとはHUNTER×HUNTERも今後リリース予定です。人気タイトルが続きますから是非頑張って欲しいです。
スポーツ事業
中心となるのはDeNAベイスターズの球団運営とBリーグの川崎ブレイブサンダースです。野球は御存知のとおり春~秋がシーズンなため、通常3~4Qは売上がガクっと下がりますが、球団の努力もあって2019年シーズンは球団史上最高の観客動員数(228万人)となりました。ライト側に新たなウイング席(確か3000席くらい)が設置した他,東京五輪も見据えてレフト側にもウイング席を設置しており,収容人数は約34000人となります。他方新型コロナの影響が響き,特に2020年4月の緊急事態宣言があったため同年1Qのスポーツ事業はー21億円の赤字となりました。21年3月期通期でもマイナスとなるでしょう。ちなみに,DeNAベイスターズは今期から三浦監督が就任しています。大洋ホエールズ時代も知っている横浜のレジェンドですから、是非勢いをつけて昨年逃したクライマックスシリーズに進んでもらいたいです。開幕から連敗が続きましたが、オースティン、ソト、エスコバーなどの外国人組が戻ってきた他、新人の牧君も大活躍しています。
ちなみに、(話がとびますが)横浜市との提携も進める地域密着企業でもあり、例えばベイスターズの横須賀にある選手寮で出てくる「青星寮カレー」が市内の学校の給食で提供されるなどの取り組みも行なっています。
あ、忘れてましたが、J2のFC相模原の運営にも参画することとなっています。
オートモーティブ事業
オートモーティブって何ぞや?となるかもしれませんが,ここはサラッとだけ説明します。オートモーティブ事業は特に交通系の事業を中心としており、カーシェア(Anyca)や車の定額サービス「SOMPOで乗ーる」、日本交通HDと共同筆頭株主を務めるMobility Technologiesのタクシー配車アプリ「MOV」があります。私はMOVを一時期使ってましたが、都心や神奈川の一部を除いて台数が少ない印象がしたので、今は使っていません(まあそもそも普段タクシーを乗る身分でもないですが。妊娠中、産婦人科へ行くときはお世話になりました)。
さて、このオートモーティブ事業ですが、MOVがJapan Taxiと統合するなど主力事業がいくつか連結から外れた事に伴い、「新規事業・その他」の枠組みに含まれることになりました。
ヘルスケア事業
KenconやMYCODEなどのサービスを展開していますが、恐縮ながら説明を端折ります。そのうち詳しく紹介するかもしれませんが、そもそもDeNAの中でウェートが低く、株主からしたらいつも赤字を垂れ流している印象しかありません。そして、毎回決算資料の中でもほとんど触れられておらず、あまり社内でも関心が持たれていないのでは、と感じています。
新規事業
新規事業部門で期待されるのはライブ配信サービスのPocochaです。昨年末時点でダウンロード数は220万回を超え、ライブ配信アプリランキングでも上位に食い込んでいます(正式な統計取っているか不明ですが)。他のアプリと違うのは投げ銭システムはなく、配信時間に応じてもらえるダイヤ(現金還元できる)等がライバーの収益となります。17LIVEやSHOWROOMほど、芸能人の参入が少ないため素人感があって良いというのが印象&周りの反応です。
ちなみに、PocochaやSHOWROOMは台頭しつつあるせいか、21年3月以降は「ライブストリーミング事業」として新たなセグメントで計上される予定です。DeNAの中でも育てていきたい分野となっています。
今後の展望
2016年のキュレーション問題があったほか、2020年3月期決算で米国子会社の特損を計上した事により上場以来初の赤字となるなどの苦難を強いられました。昨年は新型コロナの影響によりスポーツ事業が大打撃を受けましたが、それでも元々借金が非常に少なかったため、積み上げた余剰金で自社株買いを行うなど、安定感を見せました。自己資本比率も70%前後と安心して見ていられます。
ちなみに以前は経営陣が株価をあまり気にしていない感じでしたが、最近は株主還元の意識も高まりつつあります。昨年は500億円を上限に自社株買いを実施したものの想定に届かず、今期は改めて140億円上限の自社株買いを実施中です(〜2021年9月まで)。
スポーツ事業は今期も厳しい状況で、慎重に予想すると昨年並みとなりそうですが、主力のゲームは既存タイトルが堅調な他、ライブ配信サービスも順調であることから、21年3月期は黒転確実で、その先の22年3月期の予想に期待したいです。
ちなみに今期(21年3月)は会社の通期予想なし、四季報予想は純利益270億円、コンセンサス予想は220億円です。ここ最近は株価が上昇しており、5月7日発表の決算は多少良いくらいであれば売られてしまう可能性大ですが、現在(5/6時点)の株価が2300円前後(=時価総額3000億円)で、今期純利益が250億円程度と想定するとざっくりでPERは12倍ですから、そこまで割高ではありません。長期的には持っておいて良い株と考えます。あとは増配もしてくれると尚良しなんですが。
さて、明日の通期決算を楽しみにしつつ、株価が落ち着いてきたらまた分析記事を書きたいと思います。
それでは!
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