【小型企業解説】ハイマックス<4299>〜金融分野を中心としたシステム開発・情報通信業老舗で無借金の安定・堅実成長〜

個別銘柄

 小型企業解説の第二弾はハイマックス<4299>を取り上げます。多分知らない人が多いはず。時価総額は本日5月13日時点で130億円少しで、規模的には小さいのと、特定株が6割でそもそも株式売買の流動性が非常に低い銘柄です。そんなハイマックスですが、主に金融・保険・クレジットカードなどの分野のシステム企画・設計・メンテナンスを行なっています。それでは、一体どんな会社なのか紐解いていきましょう。

目次

沿革

 情報通信分野では実はけっこう歴史があるほうで、創業は1976年。最初の事業は横浜市戸塚で立ち上げており、当時はハイマックシステムズという名前でした。91年にハイマックスに変更。その後順調に業績を伸ばし、2001年にJASDAQ上場、04年に東証第二部、2014年に東証第一部へ指定となっています。

 今でこそパソコンでビジネスをするのは当たり前ですが、ハイマックスは、創業当時から、情報通信分野の人材育成に努めてきました。会社へのインタビュー等によると1986年に先端技術開発担当の部署、88年には人材開発専門部署を設立して社内教育体制を確率したそうです。

事業

 ハイマックスはシステム関係の企業ですが、ざっくり事業を分けるとシステム・ソリューションサービス(SSS)とシステム・メンテナンスサービス(SMS)に分類されます。SSSでは、システム化開発にあたってのコンサル業務から設計・開発・テスト・導入に関して一貫したサービスを提供。SMSではメンテナンスとあるとおり、稼働後のフォローができるようシステム安定性・信頼性を高めるためのサービスを行うとともに業務ノウハウの蓄積を行なっています。SSSが上流事業、SMSが下流事業といえますが、会社の説明では、このSMSを通じて上流への継続受注に繋がるとされており、実際そのとおりでしょう。金融や保険分野のシステムは専門性が求められることもあり(+信頼性が必要)、ポッと出の企業やシステムエンジニアに丸投げしにくい所があるでしょうから、こういったノウハウを持っているハイマックスは非常に重要な取引先となっているのかと想像します。

 このSSSとSMSについて、どういう構成になっているのかというと売上高的にはSSSが約48%、SMSが約52%くらいの比率のようです(20.3期通期決算補足資料)。他方で、年度別で見ると、SSSが横ばいor微減傾向にあり、一方でSMSが増加傾向にあるため、どちらかというと既存顧客との提供済みシステムへのサービスの比重が高く、新規顧客の獲得にはそこまで力を入れていない印象です。 

 ちなみに業種別の売上高を見ると、金融(銀行・証券・保険・クレジット)が圧倒的で70%程度、残りの非金融(公共・流通・その他)が残り30%という構成です。

会社中長期計画C4 2022

 2016年から2022年のスパンで、現在会社の中長期経営計画「C4 20221」が進行中です。主な内容は、①既存領域深耕・隣接領域展開、②重点6業種の深耕・システム基盤領域の拡大、③取引企業の成長分野への新たなSI提案による参入。④新規事業・海外事業創出、⑤事業拡大に向けた資本提携・M&A実施を上げています(言葉は少し加工してます)。本当はもう少し深掘りしたいのですが、それは今後時間があったらということで、投資家目線で注目したいのは④⑤の事業拡大に向けて、新規事業・海外事業・資本提携・M &Aを行なっていくという点ですね。

 新規事業では、働き方改革に向けた取り組みや教育アプリ「トライビット」シリーズ配信などが行われています。トライビットは基本小学生向けですが、大人でも面白く、かつCPUの動きを学びながら、ゲームができますよ。ちなみになかなか可愛らしい白いロボットが活躍します。海外事業ではまずはシンガポールなどASEAN地域への進出を検討しているようですね。

 資本提携とM&Aは検討中らしくて、正直なところ、何が行われそうかわかりません。ただハイマックスは、事業規模は小さいですが、歴史のある会社なせいか、意思決定がかなり慎重なので、具体的に資本提携やM&Aが検討されているのかわかりません。良い意味で私の期待を裏切ってくれることを期待します。

業績と見通し

 まずは直近の決算短信を見ていきます。

売上高営業利益経常利益純利益1株利益
2019.314,834986993717147円
2020.315,3421,0121,017695142円
2021.1Q3,77728829019540円
2021.2Q7,58565465944345円
2021.3Q11,4151,0191,02268870円
2021.4Q
2021.3期初予想14,500758763512105円
2021.31/29修正15,1001,3001,30390090円
2023.3中計予想17,7501,065
ハイマックスIRライブラリ, 2023.3期は中計目標値

 業績は順調ですが、年明けの1月29日に、21年3月期3Qまでの累計を前年比約60%増となる10.2億に増加。また通期予想を大幅に拡大させ、3期連続の過去最高予想を出しました。更に、既存株主に対して、持株1株あたり0.2株を無償割当するとの発表を同時に行なったため、驚きを持って受け止められました。(こういう無償割当は私は初めて見ました)

 さて、本決算は本日5月14日に発表となりますが、予定通りの数字から更に上振れすることを期待したいと思います。ちなみに会社予想が四季報予想を下回っており少し慎重です。

 また株価は最近の情報通信・ハイテク株の売り相場に影響を受けて、かなり下落し、PERは13倍台に突入しています。今の業績なら1400円くらいはあってもいいと思いますが。

 今期予想の数値がしっかりしたものであれば、上昇が期待できるので、明日の決算と今期予想に注目したいと思います。

 それでは!

 

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