日経平均株価の構成比率・寄与度
日経平均株価は文字通り大原則としては225社の株価を足して225で割った数字ですが、1株数百円と1株数万円の企業の株価の平均を取ったら、当たり前ですが数万円の企業の影響力が大きくて実態の値動きがわかりにくいですよね。
また、当然のように時価総額が同程度であっても、発行株式数は各企業でバラバラなので、株価ももちろん異なります。一例を挙げると、電通<4324>と明治ホールディングス<2269>の時価総額は両方とも約1兆円ですが、電通は一株3,360円、明治HDは一株6,770円です(2021年4月末)。企業はこれまでに株式併合や分割を繰り返していますから、これら要因も考慮されないと平均株価が正しく算出されません。
そこで日本経済新聞社は、これら問題を解決するため各銘柄の株価を①「みなし額面」で50円額面水準に修正した上で、②修正済み株価の合計を「除数」で割って算出します。①のみなし額面って何だ?とややこしい話になってきました。
①以前は株式の額面制度というのがあり、50円、500円、5万円などのこの旧額面水準を元に株価が形成されていました。また最低単元株数のようなものがなかったため、1株5万円額面の株価と、単元が100株や1000株といった株価水準が大きく異なっており、このままでは平均値を取ると、額面が高い銘柄に平均株価が大きく偏ってしまい適切な数値が算出できません。そこで、旧額面50円以外の銘柄を50円と「みなし」、これを合計することとなったのです。
※2021年5月10日、日本経済新聞社が日経平均株価の算出基準の一部変更を検討している旨発表しました。「みなし額面」換算による株価水準調整が時代に合わなくなってきたことを踏まえて、「みなし額面」を「株価換算係数」に改められ、この係数を使った調整が行われる事になります(なおこれまでの日経構成銘柄については、50円を現在のみなし額面で割った値となる)。
②上記のみなし額面で出した合計株価ですが、前述のとおり企業の株式は併合・分割の影響により、そのまま銘柄数225で割っても適切な数値は出ません。このため市況変動によらない株価水準を調整し、指数としての連続性を確保するためにNYダウと同様の「ダウ式」による調整が行われます。面倒な説明は省きますが、分母にあたる数値を「除数」として算出し、これを構成銘柄見直しなど市況の変更が行われるたびに除数を補正していきます。
と、だいたい、こんな形で算出されますが(ざっくりですいません)、実際に日経平均株価の構成比率が高い企業を見ていきましょう。
コード | 企業名 | 株価 | 構成比率 |
9983 | ファーストリテイリング | 89,710 | 11.21% |
9984 | ソフトバンクグループ | 9,885 | 7.41% |
8035 | 東京エレクトロン | 48,320 | 6.04% |
6954 | ファナック | 25,175 | 3.15% |
6367 | ダイキン工業 | 21,930 | 2.74% |
6857 | アドバンテスト | 10,380 | 2.59% |
9433 | KDDI | 3,306 | 2.48% |
4063 | 信越化学工業 | 18,450 | 2.31% |
2413 | エムスリー | 7,577 | 2.27% |
4543 | テルモ | 4,132 | 2.07% |
これを見ると一目瞭然ですが、ファーストリテイリングとソフトバンクの影響力が絶大ですね。この2社だけで日経平均株価の20%程度を構成しているため、2社だけで日経平均を100円以上も押し上げたり、押し下げたりすることがあります。したがって、日経平均株価だけを見て、日本企業の全体の動きが見えるわけではないので、その点は注意です。そうすると日経平均って指標としてどうなの?という議論もありそう(というかある)ですが、もう半世紀以上も使われていて、全ての投資家が朝一で取り敢えず見るくらいの指標ですから、まあそんなもんなんだな、くらいに思っていただければと思います。
日経平均ください!って通じる?
たまに笑い話で出てきますが、株式投資をやったことがない人がニュースをみて、証券会社の窓口やコールセンターで「日経平均ください」なんて言うことがあるらしいです。これまでの説明の通り、日経平均は「平均」の株価ですから、そんなもの買えんよ、と言ってしまいそうですが、日経平均を買いたい!という人の発想は理解できるものです。
さて、日経平均そのものを買うことはできませんが、今や何千もの指数連動型ETFがあり、もちろんですが日経平均株価に連動する上場投資信託(ETF)もあります。これらETFは購入資金を対象となる個別銘柄に分散投資してくれるため、個別銘柄を一々見てられん!という方にはオススメです。日経平均に連動する有名なものとして、日経平均225連動型上場投資信託<1321>や、更にハイリスク・ハイリターンで行きたい人にはNEXT FUNDS日経平均レバレッジ<1570>等があります。日経平均に投資したい!という方はこれらETFを入口に始めると良いと思います(なお手数料等が別途かかるのでご注意を)。
それでは!
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