【企業評価】ユーグレナ<2931:東1>〜ヘルスケア堅調/バイオ燃料に先行投資で年内フライト実現か〜

個別銘柄

 今回取り扱うのは、「からだにユーグレナ」などのミドリムシの研究・開発で有名なユーグレナ<2931>です。ミドリムシの燃料でジェット機を飛ばす事に挑戦するユーグレナ。夢がありますが、実はもう夢でもなくなっており、実用化までのゴールが見えてきています。ということで筆者的に期待感の高い会社ですので今回取り上げました。まず、現在の株価等の指標は以下のとおり。なお筆者もホルダーなので、多少バイアスもあるのですが、投資は自己判断ということで。。。

現在株価筆者目標PERPBR信用倍率利回り
1024円1,300円10.16倍1.83倍
           目標は筆者予想。2021.7.13株価。

 ちなみに7月12日の会社発表では、来年の市場再編で、ユーグレナは「プライム市場」適合となったのこと。まあ基準は適合していたので驚きはありませんが、個人的にホッとはしています。

目次

筆者評価:A【上限1,300円:年内】

※注:筆者評価はS>A>B>C>D>Eの6段階にしてます。現在株価に対しての割安感も考慮しての評価なので、赤字企業や現在業績が悪い企業でも、私の将来の期待値が高ければ必ずしも低い評価にしませんので念の為。

S現在株価+30%以上予想
A現在株価+15%以上予想
B現在株価+10%程度予想
C現状適正価格
D現在株価−10%程度予想
E現在株価−20%以上予想
   ※筆者の年内の株価予想。

 まず筆者予想からですが、2021年内のユーグレナの株価上限を1300円程度と予想しています。そもそも利益が出ていないので適正な価格というのは算出が難しいですが、以下のとおり株価売上高倍率(PSR)で見ていくと、ここ数年の平均値は5〜7倍で、さらに直近で絞ると6倍程度です(同業他社もだいたい5〜7倍くらい)。21年9月期はキューサイ買収分が加算されて大幅増収を想定されています。来期では通期でキューサイの利益が上乗せされるので、今年11月頃の来期予想も注目です(会社四季報では黒字転換予想)。

売上高売上高/株株価PSR
2017.913,886165円1184円7.18倍
2018.915,174177円875円4.94倍
2019.913,967150円903円6.02倍
2020.913,317143円880円6.15倍
2021.922,000200円1024円
(7/13)
5.12倍
(7/13)
2022.9400億?
株価は各期末時。売上高のみ百万円単位。会社IR

 そんなユーグレナですが今年の株価を見ると、以下のとおり3月16日に年初来高値となる1295円を付けました。TBS系列等の番組や日経新聞でも取り上げられ若干過熱感がありましたが、その後、調整しながら少し下げていたところで、4月にはキューサイを買収(厳密にはキューサイを保有するQ-Partners)のために、海外での公募増資(129億円分)を発表したことで大幅下落。ただ、昨今はESGへの点からバイオジェット燃料への注目が高いことや、7月に入ってポジティブなIR発表が続き、現在は1000円台をコンスタントに回復しています。

 筆者としては株価の上昇には期待していますが、それはあくまで市場の期待値からの上昇であって、業績自体はヘルスケアが支えてくれているとは言っても、バイオジェット燃料のプラント立ち上げで時間がかかっていること(商業プラントの完成は2025年見込み)やバイオ燃料開発で競合が出てくる可能性もあるので、今の株価はちゃんと正当化できるのか、、、という疑問はなくはないです。22年9月期は四季報が営業利益5億円・純利益3億円の予想(キューサイ寄与分除く)ですが、単純計算したらPER300倍という数字ですからね。。。。

 ということで、1300円達成は年内到達可能と筆者は予想しますが、到達しても長続きするかは自信がありませんし、個人的にはユーグレナが調整中のバイオジェット燃料を使った年内のフライト実現次第で株価が左右されるのではないかと思います。フライトを行う際はメディア効果で一時的な上昇はあるでしょうから。いずれにせよ業績はここしばらく赤字で、期待先行銘柄なので、推奨ではありませんからご注意を。

沿革・概要

 ユーグレナ<2931>はミドリムシの研究開発・生産管理等々を行なっていますが、ユーグレナというのは正しくミドリムシの学名です。立ち上げの経緯については、出雲充社長の著書「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました」にも書かれていますが(興味あったら是非本読んでみてください)、出雲社長のバングラデシュへの滞在経験もあって世界を救いたいという熱意から、後輩でミドリムシを研究していた鈴木氏と出会って立ち上げられたベンチャー企業でした。最初は事務所がないので、当時ライブドア社長の堀江氏の事務所のスペースを借りながら活動し、その後ライブドアショックの影響で事業もなかなか進められないという苦労もされていたようです。

 紆余曲折もありましたが、八重山殖産(後に子会社化)の協力で石垣島でミドリムシの培養プールを使えるようになったり、伊藤忠からも出資を得られるなどもあって、2012年にマザーズ上場。同社の活動はどうしてもミドリムシの燃料に目がいってしまいますが、中心事業というか同社の収益はほぼ全てヘルスケア事業からです。

 石垣島で作ったミドリムシがたっぷり入った「からだにユーグレナフルーツグリーンオレ」(味は各自の評価に任せます)、美容クリーム、遺伝子解析サービス(「ユーグレナ・マイヘルス」キット等)などが主力サービス・商品です。このヘルスケア事業については、今期は順調、というか想定通りに進んでおり、第2四半期の時点で、当初の売上高予想(修正前)152億円に対して51%とまずまずです。広告宣伝効率の上昇や定期顧客の獲得がうまくいっているようであります。(といっても主婦仲間でユーグレナの製品使っている人、私の周りにはいませんけどね)

 あと期待先行のエネルギー・環境分野ですが、前期で本格稼働させたバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントでのバイオジェット燃料が完成しており、あとは飛行機を飛ばすだけ、という状況です。会社側としては21年内にフライト実現に向けて関係事業者と航空当局との調整中のようです。

直近業績

 直近3期は先行投資のため赤字決算となっていますが、今期はキューサイの買収分が寄与することで、赤字幅は大幅に縮小することが期待されています。会社予想では売上高のみで、純利益(損失)分は明らかにされていませんが、会社四季報の予想では純損失▲6億円となっています。直近の業績は以下のとおりです。

売上高営業益経常利益純利益一株利益
2016.911,1036939446738.1円
2017.913,8869501,2077859.4円
2018.915,174▲1,379▲1,096▲1,252▲14.7円
2019.913,967▲7,460▲7,073▲9,798▲107円
2020.913,317▲1,807▲1,457▲1,486▲16円
2021.922,000
         ユーグレナIR資料、単位:百万円(一株利益のみ円)。

 ヘルスケア事業は順調なので、あとはバイオジェット燃料次第で暴騰して欲しいものですが、ここ最近はメディアの露出度も高く、今年4月には葛飾区のガソリンスタンドでユーグレナバイオ燃料を一般販売してました。しかも通常価格ですよ!ハイオクで151円。実証プラントで作ってるから、量産してなくて、1リットルで1万円くらいするはずなのに。。。私も使ってみたかったんですが、今は車持ってないんでダメでした。。。。残念><

 と、話は飛びましたが、第3四半期決算は8月13日の予定。通期決算は例年11月第2週あたりですから、良い数字が見れる事を期待しています。

 なお、今後は2023年からの商業プラントの建設に向けて動き出すことになりますが(現在立地選定中)、建設が順調にあたって、色々専門的なリスクもきっとあろうかと想像されるので、私ごとき素人ではわからない壁もたくさんあると思われ、不足の事態(減損等)の可能性もありますが、長い目で見守っていきたいと思います。

 それでは!

 

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