株価純資産倍率(PBR)は聞いたことがありますか?恐らく聞く機会があると思いますが、好景気の時にはあまり気にしない指標かもしれません。このPBRとは、「Price Book-value Ratio」(ピービーアール)の略で、株価が一株あたり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍になっているか、を表します。一体どういうものか、紐解いていきます。
目次
計算式
株価純資産倍率PBR = 一株の株価 ÷ 一株純資産(BPS)
簡単に言ってしまうと、A社という会社を今この瞬間に解散させて資産評価したとき、その評価額の何倍の株価となっているかを表します。つまりPBRが1倍なら、一株あたり純資産BPSと株価が同じ値となっていることになります。ざっくり言ったら、今100円の価値がある会社に対して、株価が100円となっている状態となります。PBRは株価が割高か割安かを判断する重要な指標として、四季報、株探など企業紹介の本やページなど、どこでも記載されています。
さて、このPBRが一倍なら会社の価値=株価総額(時価総額)ということになるので、1倍以下なら割安、1倍以上なら割高、ということになるのですが、、、、、事はそう単純でもありません。
第一に会社の資産というのは、金銭で測ることができない資産があったり、会社に既に付いているブランドもあります。そうなると実際には、株価は一株あたり純資産BPSを超えてBPRが1倍を超えることになります。例えば、PBRの低い企業を見ていくと、以下のランキングを見てもわかるとおり、銀行業界は基本的にPBRが低いというのがわかると思います。
低PBRランキング
企業名 | 株価 | 一株純資産 | PBR | |
1 | 栃木銀行 | 180円 | 1,593円 | 0.11倍 |
2 | 山梨中央銀行 | 839円 | 6,712円 | 0.12倍 |
3 | 愛和銀行 | 2,881円 | 21,310円 | 0.12倍 |
4 | 大分銀行 | 1,759円 | 12,596円 | 0.13倍 |
5 | 千葉興業銀行 | 275円 | 1,924円 | 0.14倍 |
銀行業界のPBRが低い理由なぞ色々あるのでしょうが、よく言われる理由の一つとして銀行が持っている資産が簿価上高く見積もられていること、が挙げられます。銀行所有の資産を仮に全て現金化したからといってその通りになるとは限らず(どの業種にも言えますが)、特に債権等は場合によっては二束三文にしかならないものもあるでしょう。二つ目として、銀行は持っている資産のわりに、収益率が悪いため、結果株が買われず安値に留まっているというものです。
上記ランキングに出てくるような地方銀行だと、通常ROEは1.5%くらいが平均的で、2%もいけば良い方ですが、これは投資家の目線からすればとても低い数字です。マイナス金利で各銀行が収益の多様化を進めようとしていますが、収益性が悪いと投資家も見向きもしないでしょう。オマケに今後はキャッシュレス決済やデジタル通貨が台頭してくると、極論ですが従来の銀行形態ではその存在意義まで疑問視されることもあり得ます。
高PBRランキング
さて、逆にPBRが高い企業も見ていきましょう。
企業名 | 株価 | 一株純資産 | PBR | |
1 | 3-Dマトリックス | 263円 | 42円 | 141倍 |
2 | 日本通信 | 224円 | 1.6円 | 134倍 |
3 | ユナイテッド&コレクティブ | 1,022円 | 76円 | 128倍 |
4 | 小僧寿し | 49円 | 0.4円 | 123倍 |
5 | 弁護士ドットコム | 8,250円 | 100円 | 83倍 |
上記のような感じでした。1位の3Dマトリックスですが、バイオベンチャー企業です。バイオベンチャーは通常開発の期間は赤字を垂れなが、、、、じゃなくて先行開発費がかさむためしばらく収益化が厳しく、その期間お金が足りなくなれば増資やワラントを行います。ので、一株純資産の数値もあまりアテになりません。他の企業についてもみればわかるように、過去の赤字が大きいor継続していた企業で、「一株純資産が非常に低いため、相対的にPBRが高く見えてしまう」点がわかると思います。
このようにPBRが異常な値であるときは、何らかの問題(低い収益性、純資産が少ない等)を抱えていることが多いので注意しましょう。一つの目安としてPBRは1倍を超えるか超えないか、という理論的なボーダーラインはありますが、私は10倍までを目安にしています。といって、それを超えたからどうだ、というのもなくPBR自体そこまで重視していないですけどね。
時価総額ランキング企業のPBR
最後に日本を代表するような企業の場合のPBRも見ておきましょう。
企業名 | 株価 | 一株純資産 | PBR | |
1 | トヨタ自動車 | 8,819円 | 7,798円 | 1.05倍 |
2 | ソフトバンクG | 8,647円 | 3,956円 | 1.54倍 |
3 | ソニーG | 10,320円 | 4,360円 | 2.29倍 |
4 | キーエンス | 52,550円 | 7,603円 | 6.66倍 |
5 | NTT | 2,897円 | 2,025円 | 1.38倍 |
キーエンスのPBRは例外的に高いですが、その他は1〜2倍程度ですね。もちろん業種や今後の成長期待によってもPBRは左右されますが、正常な企業であればだいたいこのあたりの水準に落ち着いているのであくまで参考にしてみてください。
それでは!
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